アーチスト紹介

(詩集『たったひとつが美しい』より)

 

 

たんぽぽ

たんぽぽは
たんぽぽであることを嘆いているだろうか
たんぽぽは
薔薇になりたいと願っているだろうか

綿毛となって
見知らぬ町まで旅することの
どれほど優雅であることを
新たな出会いがあることの
どれほどワクワクすることを

小さな小さなたんぽぽは
誰よりも幸せだと
知っている
たんぽぽは
たんぽぽでよかったと
道の端で笑っている

 

 

一日の幸せ

「おはよう」といって始まる朝の幸せ
「おやすみなさい」といって眠れる夜の幸せ
「いただきます」といって食べられる幸せ
「ごちそうさま」といって満たされる幸せ
「いってきます」といって出かけられる幸せ
「いってらっしゃい」といって見送れる幸せ
「ただいま」といって帰れる幸せ
「おかえりなさい」といって迎え入れる幸せ

気がつけば、毎日たくさんの幸せの中にいた

 

 

自然と交感し、言葉を紡ぐ

 衣服を脱げば生身の肉体が露わになるように、文章もさまざまな装飾を削ぎ落とすと素のままの文章が露わになる。削ぎ落とした文章の代表的なものが、詩であり、短歌や俳句といっていいだろう。

 詩人・神谷真理子さん(本人は詩人という自覚がないかもしれないが、まぎれもなく詩人である)の紡ぎ出す言葉のきらめきをどう表現すればいいのだろう。なるほど言葉というものは、こんな風に人の心にスーッと入ってくるのかと感嘆するばかりである。

 神谷さんの感性のベースには、「人も他の動物も地球も、もともとはひとつだった。それが、何者かの意思によってバラバラにされただけ。だから、根本的にすべてはつながっている」という思想がある。神谷さんが紡ぐ言葉は、その「つながり」を意識するがゆえ生まれたものばかりだ。

 例えば、『たったひとつが美しい』には収められていないが、「物知りな冬」という近作がある。

 

物知りな冬

冬はいい
はぁ〜っと吐いた息が白くなるから
息が見えるんだよ
すごいね
 
冬はいい
ぴーんと空気の糸が張っているから
空気がぴしぴし鳴るんだよ
すごいね
 
冬はいい
ひんやりした手と手をつなげるから
冷たいのにあったかいんだよ
すごいね
 
冬はすごいね
いちばん静かなのに
いちばん物知りなんだよ

地球の大きな愛に包まれて(著者のあとがき)

 思いつくままに書き留めていた言葉が、こうして一冊の本になる幸運に恵まれ、ただただ驚いています。幼いころから、いつも心ここにあらずで、草や花に魅せられ、木や風になりたいと思っていました。そこに自分の求めているものがあると信じていたから… そして、こんな自分は愛される価値があるのだろうかと、愛される方法ばかり探していました。
 でも、それはまちがいだと気づきました。道端の草花や、人知れずたたずむ木々たちが、ずっと変わらずそばにいてくれたことを知ったのです。どんなに喜びや悲しみがあろうとも、ただ静かに寄り添ってくれる植物たちの、果てしない愛を見つけたのです。そのときの安らかな気持ちをどう表現すればいいのでしょう。本当に感謝を述べるべき相手は、植物やすべての生き物たち、そして、この地球なのでしょう。
 誰でも意識を変えれば、あらゆる生き物たちと情報交換できるのかもしれません。もともと一つだった神の魂が、その神の意思によりバラバラにされただけですから。神さまのかけらである私たちは、いつもどこかでつながっているのだと思います。
 地球の大きな愛に包まれて、一日一日を生きていくことのできる幸せ…。地球に生かされている生き物たちからいただいた言葉をつむぐことのできる幸せ…。それらをかみしめ、一歩一歩歩んでゆきたいと思います。

 

読者からの感想

●私は詩集が好きで、これまで多くの詩を読んで来ました。高校時代に諳んじるくらい読んだ島崎藤村、ヘッセなどはいまでも一節を覚えています。久しぶりに詩集を手にしましたが、神谷さんの詩にはこれまで経験したことのないような感動に満たされます。草花や昆虫、木々や風、雲などの自然の題材を通じて、人間の存在とはいったい何なのか、幸せとはいったいどういうことかを考えさせられます。
 小さな命と大きな宇宙を見つめる目と心。神谷さんの言葉は、私たちの人生を豊かにしてくれる力を持っています。この本に出逢えたことに感謝します。(東京都・男性)
●神谷さんの詩には、うんうんうなりながら言葉を選び、形にしたという作為を感じません。普段の生活と心のうつろいをあるがままに描写してみたら労せずして詩になった。そんな印象を受けました。(栃木県・男性)
●生きているだけでも幸せなんだと感じることができる本当に優しい詩ですね。装丁もとてもきれいでシンプルでよかったです。絵はありませんが、表紙や中身の余白が読み手に自然と想像を掻き立てるような、まるで絵本みたいな感じでした。(東京都・男性)
●神谷さんの「草や花に魅せられ、木や風になりたい」という言葉、それがこの本のすべてだとおもいました。こんなに素敵な方が、いらっしゃるのですね。「たったひとつが美しい」、まさに、その人にしかできないこと、その人だから作り出せる世界・・・・。それを最大限に引き出すことで、多くの感動につながるのですね。(神奈川県・女性)
●優しい眼差しが、やさしい言葉でつづられ、素直に心に入ってくるようでした。あとがきに書かれていらっしゃる神谷さんのお話の仕方や、お昼時の過ごし方などから神谷さんという方を思い浮かべてみましたら、気持ちがほっーとしました。優しいお気持ちの方の心から紡ぎだされる素直な言葉は、心洗われますね。(栃木県・女性)
●最近、偶然にも「葉っぱのフレディ」を再読し、自然、木、葉、風を想っていたところでした。そんなところにこの詩集を読ませていただきました。途中からあたたかい気持ちになり、涙がこぼれました。(埼玉県・男性) 
●野の花に教えられ、助けられ、元気いっぱい頂いた私にはいつもそばにおきたい、うれしい一冊となりました。(島根県・女性) 
_一遍ずつ丁寧に堪能するつもりが、止まらなくなり一気に味わってしまいました。その後は丁寧に向き合っています。純粋で宇宙の真理に満ち溢れていて、普遍的です。本物の持つ力なのでしょうね。(神奈川県・女性)

たったひとつが美しい

●定 価/1,000円(税別) ハードカバー・全120ページ
●著 者/神谷 真理子
●販売元/ジャパニスト出版
●発行日/2011年5月
●ご購入については【お問い合わせフォーム】よりお問い合わせください

1972年、兵庫県生まれ

千葉県在住

作品のご購入・アーチストへのコンタクト・アポイントに関しては、
すべて神楽堂を運営している「神楽サロン」にて承っております。
右の【お問い合わせ】ボタンをクリックして、お問い合わせください。